2019年の展覧会

Keith Haring: Humanism -博愛の芸術-
 2019年4月13日〜2020年1月13日
大山エンリコイサム個展「VIRAL」
 2019年5月18日〜2020年3月22日

【次回予告】
Keith Haring: 1985-1990 | ENDLESS
 2020年2月22日〜2021年1月11日

Keith Haring: Humanism -博愛の芸術-

2019年4月13日(土)〜2020年1月13日(月・祝)

#中村キースヘリング美術館 #NKHC #Humanism展

All Keith Haring Artwork © Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection.

 

 

本展では、一部の富裕層に独占されたアートを否定し、人種も宗教も性別も凌駕する愛を信じたキース・ヘリングの思想を当館のコレクションとともにご紹介いたします。

1980年頃ヘリングがニューヨーク中の地下鉄構内に描き始めた《サブウェイ・ドローイング》は、地下鉄という公共空間での‘落書き’というリスクを伴いながらも、「アートはすべての人のために」という信念のもと約5年間敢行されました。ヘリングは瞬く間にその名を世に広め、地下鉄の利用者をアートの鑑賞者に変えたのです。

米国ペンシルバニア州カッツタウンという小さな町を故郷とするヘリングは、幼少期より父と絵を描き始め、日曜日には家族で教会へ通うという一般的な家庭に育ちました。アーティストを目指してニューヨークへ渡ると芸術活動の幅を一気に広げ、アトリエでの作品制作以外にも、世界各地に足をのばし、ワークショップや壁画制作を意欲的に行い、子ども病院などの公共施設へ作品を寄贈しました。また、景気の低迷、人種差別、エイズ感染の拡大など様々な問題を抱えた80年代ニューヨークの混沌とした時代を背景に、ヘリングはエイズ予防啓発や反アパルトヘイト、アフリカ緊急救援基金の展覧会などのために、数多くのポスターを手がけ、時には公共の場で無料配布しました。社会の束縛や抑圧からの解放と、人間の自由と平等を掲げたヘリング。彼は一貫してアートを媒体に人道主義の最も敬虔にして、勇敢な姿を貫いたのです。

ヘリング芸術を象徴する作品のひとつ《スウィート・サタデー・ナイト》は、1985年にブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージックで、黒人のストリートダンスと社交ダンスの300周年を記念して上演されたパフォーマンスの舞台セットでした。横幅6メートルを超える大画面一杯に黒い線が踊るように描かれています。ニューヨークで最盛期を迎えていたクラブカルチャーの熱気と生命力に溢れ、まさに愛と生きる喜びを表現しています。

 

僕はアートがプロパガンダであると思わない。アートは魂を解き放ち、想像力を掻き立て、人々がさらに先へ進めるように勇気づけるものであるべきだ。アートは人間を操作するのではなく、祝福する。(1978年10月14日 「キース・ヘリング ジャーナル」より)

 

<展覧会概要>

展覧会名称:Keith Haring: Humanism -博愛の芸術-

会 期:2019年4月13日(土)〜2020年1月13日(月・祝)

開館時間:午前9時〜午後5時

休 館 日:2019年4月9日(火)~4月12日(金)、

2019年5月15日(水)~5月17日(金)(展示替えのため休館いたします)

入 場 料:

大人\1,500、16歳以上の高校・専門・大学生\600、障がい者手帳をお持ちの方 \600、16歳未満 無料 ※割引には証明書が必要です

団体(20名様以上)¥1,000 ※要予約

後援:アメリカ大使館、山梨県、山梨教育委員会、北杜市、北杜市教育委員会

協力:キース・ヘリング財団シミックホールディングス株式会社

 

<開催予告>

大山エンリコイサム個展「VIRAL」

2019年5月18日(土)〜2020年3月22日(日)

#大山エンリコイサム #VIRAL展

Enrico Isamu Ōyama, FFIGURATI #184, 2019 / Artwork © Enrico Isamu Ōyama / Photo ©Suguru Ikeda

 

中村キース・へリング美術館は、ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動するアーティスト 大山エンリコイサムの個展「VIRAL ヴァイラル」を開催いたします。

大山は1983年イタリア人の父と日本人の母のもとに東京で生まれました。エアロゾル塗料で都市の地下鉄や壁に名前をかくエアロゾル・ライティング(グラフィティ)の文化に影響を受け、2012年より渡米。大山のアートは、ライティングの視覚言語から文字を取り除き、線の動きのみを抽出し、反復・拡張させた「クイックターン・ストラクチャー」というモティーフを軸としています。これまで世界各地で壁画制作や個展を開催するほか、著書『アゲインスト・リテラシー─グラフィティ文化論』(LIXIL出版、2015年)の刊行やコム・デ・ギャルソン、シュウ ウエムラとコラボレーションするなど、多角的に活動を続けています。

本展のタイトル「VIRAL ヴァイラル」について大山は「コンピュータ・ウィルスという言い方には「感染」というネガティヴな含意があるのに対し、SNSなどでいうヴァイラルは「拡散」や「急速」といった運動や速度のイメージと結びつき、さらには共有され、ポピュラーになるというポジティヴなニュアンスすら帯びています。クラウドやモバイルのコンピューティングが普及し、デジタルを取り巻く想像力の拠点が、身体を連想させるマシン=ハードウェアから、自然環境を連想させるサービスやアプリケーション、プラットフォームなどのソフトウェアに移行した現代、ヴァイラルという表現もまた、人体に侵入し危害を加える否定的なものから、(人工)自然のなかで繁殖する生命力や自己組織的な生成力といった肯定的なものにコノテーションが変化しつつあります」「ウィルスの脅威を、ヴァイラルの繁殖や拡散という力の生成に読み替え、さらにそれをヴァイタルという生命そのものの活力として捉え直すこと」と述べています。本展は大山の多岐におよぶ「クイックターン・ストラクチャー」作品のなかでも中心を担う絵画をメインに構成され、同時にモノクロームの階調やスケール、画面構成、テクスチャやレイヤリングといった技法においてバラエティに富む作風が選定さています。とくに美術館内自由の回廊に展開されるサイトスペシフィックな壁画作品は、キース・ヘリングの東京における記録写真の上に施され、本展のために制作されたハイライトになる新作です。

クイックターン・ストラクチャーは多様なメディアに展開・適応できるヴァイラルなアイコンだと作家は言います。環境や文脈が変化しても、それらと対話しつつ同一性を保つことのできる強固なアイデンディティ。持続する制作と作品の空間において、それは自らの生を生きていると本人が述べる大山のアートと、キース・ヘリングの作品群にも一貫する繁殖するドローイングの生命力が、時空を超えて融合します。

 

大山エンリコイサム

アーティスト。エアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」をベースに壁画やペインティングを発表し、現代美術の領域で注目を集める。1983年東京生まれ。  https://enricoisamuoyama.net

Enrico Isamu Ōyama in his Brooklyn studio / 2018 Photo ©Collin Hughes

 

<本展のみどころ>

① 新作《FFIGURATI #184》を発表
タイトルの「FFIGURATI」は「Graffiti」(グラフィティ)とイタリア語の「figùra ti 」(フィグーラティ:自身で象れ)を合わせた造語。大山の代名詞ともいえる「クイックターン・ストラクチャー/QTS」は大山作品に一貫する抽象的な「モティーフ」ですが、「FFIGURATI」は作品ごとに異なるメディウムや技法なども含む個別作品を指し、番号が振られています。#184は2017年6月にNYのジェーン・ロンバード・ギャラリーで行なわれたライブペインティング作品に、スタジオでさらにQTSを加筆して完成した絵画作品です。

② 展示室へ向かう回廊に長さ14mの巨大壁画が出現
当館の回廊では、1983年へリングの東京 神宮前での壁画制作の記録写真を壁一面にコラージュしてご紹介しています。本展では、その写真群の上を横断するように大山による長さ14mに及ぶ巨大な壁画作品が出現いたします。

③ キース・ヘリング作品とともに
1980年代アメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリング。 当館は約300点のヘリング作品を収蔵しています。本展の会期中は 当館のコレクション展「Keith Haring: Humanism -博愛の芸術-」を 開催中。ニューヨーク、ストリート、躍動する線。多くの共通項を持つ 2人のアーティストの作品を一堂にご覧いただけます。

④本展覧会のスタートを記念したライブペインティングを実施
本展の初日となる5月18日(土)、当館のミュージアム・シアターにて大山によるライブペインティングを行います。ニューヨークを拠点に活動する大山の制作の様子を見ることのできる貴重なイベントです。

<概要>

展覧会名称:大山エンリコイサム個展 VIRAL

会  場:中村キース・ヘリング美術館

408-0044 山梨県北杜市小淵沢町10249-7

会  期:2019年5月18日(土)〜2020年3月22日(日)

休  館  日:会期中無休

開館時間:午前9時〜午後5時

入  場  料:大人¥1,500、16歳以上の高校・専門・大学生¥600、15歳以下 無料

障がい者手帳のご提示¥600、団体(20名様以上)¥1,000  ※要予約

※こちらの入館料で「Keith Haring: Humanism -博愛の芸術-」もご覧いただけます。

協  力:Takuro Someya Contemporary Artシミックホールディングス株式会社

 

 

<関連イベント>

2019年5月18日 「VIRAL」展オープニングイベント

大山による作品解説、ライブペインティング

2019年5月25日 14:00〜 大山エンリコイサムによるギャラリーツアー(作品解説)

2019年11月3日 第11回 中村キース・ヘリング美術館 国際児童絵画コンクール授賞式

大山によるワークショップ

 

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