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企画展

北川原温 時間と空間の星座

2025/06/07 (土) - 2026/05/17 (日)
主  催:中村キース・ヘリング美術館
特別協力:MET(旧北川原温建築都市研究所)
協  賛:シミックホールディングス株式会社、株式会社 印傳屋上原勇七
協  力:北杜市考古資料館
後  援:山梨県、山梨県教育委員会、北杜市、北杜市教育委員会、一般社団法人 北杜市観光協会 アート・クラフト部会



「北川原温 時間と空間の星座」は、中村キース・ヘリング美術館を設計した建築家・北川原温(1951-)の美術館における初個展です。北川原は、渋谷の映画館《ライズ》(1986)で都市の虚構性を建築に表現し、その後も独創的な建築を生み出し続け注目を集めてきました。 
 本展では北川原の創作のソースを「星」、建築を「星座」に見立て、その方法論や生成の過程を探ります。《中村キース・ヘリング美術館》を構成する6つの要素「さかしまの円錐」「闇」「ジャイアントフレーム」「自然」「希望」「衝突する壁」を軸に、模型や資料を通じて建築のプロセスを紹介します。さらに、隣接するホテルキーフォレスト北杜では小淵沢に関連するプロジェクトの模型や資料に加え、写真家による北川原建築やコンセプトモデルをとらえた作品を展示。北川原の創作の重要なリソースでもある音楽や香りといった日常の身体感覚を示すものも展示します。JR小淵沢駅では八ヶ岳山麓のプロジェクトと地域の魅力を紹介します。本展を通じて、《中村キース・ヘリング美術館》をはじめとした北川原建築を歩むことにより北川原氏の「宇宙」に迫る体験をができるでしょう。

HIGHLIGHTS

見どころ

1. 建築家・北川原温の「内宇宙」を未公開資料とともに体験するインスタレーション

1978年の「ナジャの家」で建築家としてデビューし、1986年の「ライズ」で国際的な地位を得た北川原温はポストモダンの建築家の1人として知られてきました。北川原温はデビュー以来、一貫して個人の作家性を重視し、自身の創作について固定化された方法論を語らず、それぞれの建築にもたらされる物語性を重視して創作を続けてきました。

本展では、まるで星空の中に物語を見出し星を繋いで星座を描くように生み出されていく北川原の建築のプロセスを、記憶や文学、詩、哲学、自然科学、美術などさまざまな要素から物語を生み出すように建築を生み出す、北川原の独自性を探求します。

中村キース・ヘリング美術館の展示室では、これまで公開されることのなかった幼少期に集めた蝶の標本、長年にわたって描き続けたドローイング、建築模型、影響を受けた書籍などを、北川原が影響を受けたステファヌ・マラルメの散文詩のようにひとつの「空間」の中に漂うインスタレーションとして表現します。中村キース・ヘリング美術館という「星座」を描く北川原の思考の軌跡が浮かび上がり、北川原自身が旅する「内宇宙」を体感し、この空間でしか体験できないイメージを結ぶことができるでしょう。

2. 中村キース・ヘリング美術館が生み出された軌跡を初公開資料を含むドローイングや貴重な手稿の数々によって紐解く

中村キース・ヘリング美術館は2004年から3年をかけて館長・中村和男との対話の中で大きく姿を変えながら生み出されました。本展では、北川原温が構想を練る中で描き続けた未公開のドローイングや、インスピレーションを書き溜めたノートの手稿、重ねられるスタディの数々を「時間軸」に沿って紹介します。それらの資料から、美術館が生まれるまでの過程を追体験できます。

どのようにして「星座を描く」ように建築が組み上げられていったのか、構想がどのように形になっていったのか、その思考のプロセスを紐解きます。

3. 北杜市に点在する3つの北川原建築を結び、八ヶ岳南麓における創作活動を辿る

山梨県北杜市は日本有数の自然景観を誇る地であり、建築家・北川原温の作品が 6つ集中する唯一の場所です。それら6つの建築はどれも八ヶ岳の火山地形、豊かな森と水、縄文文化や馬の文化など八ヶ岳南麓の環境と深く結びついており、小淵沢駅周辺を題材に東京藝術大学の学生とプロジェクト制作を行うなど長年この地域に関わってきた北川原が、それらをどのように結びつけて個性が異なる建築を作り上げたのかを3つの建築を通して体感できます。

ホテルキーフォレスト北杜では小淵沢と関連するプロジェクトの模型や資料、、写真家による北川原建築やコンセプトモデルをとらえた作品を展示。また、ホテルロビーと中村ウィスキーサルーンでは北川原が創作のインスピレーションを得ている音楽や香り、味といった日常の身体感覚を体験できる企画を行います。小淵沢駅では、特徴的な窓で八ヶ岳の山岳景観を効果的に見せている交流スペースを会場に、北杜市に点在する北川原建築の魅力を紹介する展示を開催します。

(左)《ホテルキーフォレスト北杜》、2015年竣工 (右)《小淵沢駅舎・駅前広場》、2018年竣工

Atsushi Kitagawara

北川原 温

建築家。1951年長野県千曲市出身、飯田高校から東京芸術大学へ。

グッドデザイン賞金賞を受賞した山梨県の工業団地《アリア》の都市計画・ランドスケープ・建築のトータルデザイン、3.11東日本大震災で福島県最大の避難場所となった国際コンベンションホール《ビッグパレットふくしま》など、公・民問わず多くの設計に携わる。2019年3月まで母校の東京芸術大学で教鞭を執り、学生達とともに「劇場型都市計画」などの研究に従事。

日本建築学会賞、村野藤吾賞、日本建築大賞、日本芸術院賞、米国建築家協会ジャパンデザイン賞など数々の賞を受賞。模型やドローイングなど27点がパリのポンピドゥーセンター(仏国立近代美術館)に収蔵されている。MET(旧北川原温建築都市研究所)フェロー。東京芸術大学名誉教授。

<中村キース・ヘリング美術館 建築賞受賞歴>

2007 山梨県建築文化賞受賞

2008 アメリカ建築家協会優秀賞受賞、村野藤吾賞受賞

2009 JIA日本建築大賞受賞

2010 日本藝術院賞(建築)受賞

2016 山梨建築文化賞受賞、アメリカン・アーキテクチャー・マスタープライズ(ホスピタリティ部門)金賞受賞

VENUE INFORMATION

会場案内

ホテルキーフォレスト北杜 1階ロビー

11:00ー17:00、中村キース・ヘリング美術館より徒歩2分
(駐車場は中村キース・ヘリング美術館P2、P3もご利用いただけます)

小淵沢に関連するプロジェクトの模型や資料に加え、写真家による北川原建築やコンセプトモデルをとらえた作品を展示。
北川原の創作の重要なリソースでもある音楽や香りといった日常の世界観を示すものも展示します。

JR小淵沢駅2階交流スペース

車、タクシーで7分
駐車場は駅周辺の第3市営駐車場(有料)をご利用ください
(最初の1時間無料、1時間を超え60分ごとに100円、現金のみ、紙幣は1000円のみ利用可)

2018年に竣工。山岳景観や馬の姿にインスピレーションを得たファサードや水の造形を取り入れた駅前広場の屋根など、八ヶ岳の自然や小淵沢の文化と深く結びつく建築。室内から効果的に景観を切り取る窓を備える交流スペースを会場に、ドローイングでの演出や北杜市に点在する北川原建築を紹介します。

FEATURED ARTWORKS

主要展示作品

《ヴィラ・マラルメ》コンセプトモデル、1991

《アリア》ドローイング、1994

《マラルメの庭と家》(部分)、制作年不詳

蝶の標本箱、1950年代

《中村キース・ヘリング美術館》ドローイング、2000年代

《中村キース・ヘリング美術館》ドローイング、2000年代